陽炎
- 高橋宗真
- 4月10日
- 読了時間: 1分
更新日:4月12日
春が近づきました。
掛軸の「香風」は花を吹く風、古文では浄土の声とあります。
風を受けて、心清らかになるという意です。川崎大師住職の書。
濃茶は「茶杓荘(ちゃしゃくかざり)」です。由緒あるものをお客様に見ていただく点前で、最初の道具の置き方に特徴があります。通常、お茶碗の中にある茶杓、茶筅、茶巾を水指の上に飾り、茶入はお茶椀に入れて置きます。棚は使わず、運びの点前です。
濃茶を点て、最後に道具の拝見では、茶杓を丁寧に扱い古帛紗の上にのせます。(写真上)
茶杓は、井口海仙作、銘「陽炎」(かげろう)。京都北野天満宮の紅梅から作られたものです。井口海仙は淡々斎(裏千家14代)の弟。戦後、淡交社社長として茶道の普及、発展に活躍されました。茶道書も多く執筆されています。梅の木に春を感じる茶杓です。
薄茶は道具と帛紗を棚に残して、総荘(そうかざり)にしています。(写真下)
水指は高取14代亀井味楽。耳付の形で黒い釉薬の流れが趣あります。
お茶椀は酉年の川崎大師初茶でいただいたもので、歌会初めお題から「野」。
今日は大師ゆかりの取合せですね。
名物や由緒あるものは、いつも使うものではないですが、道具の持つ歴史や背景を考え、
茶道具を大切に扱う心を学ぶ良い機会と思います。
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